香港・珠海・深せん視察研修について

by 小口 国之

1996年5月22日から26日訪問



 今回の研修を通して、百聞は一見にしかずという言葉通り実際に見てくると テレビとか人の話から聞いていたことが自分の目で確かめられ、自分なりに 解釈でき、知識として自分の中に取り入れることができ、とても有意義な旅ができた。

 まず香港について、香港は以前にも行ったことがあり、 ある程度理解できていた所ではあるが、 何度か行くと、その度に少しずつではあるが深く知る事が出来る。 とても活気のある都市で仕事をするには、意欲がある人たちにとっては、魅力のある 都市にうつると思う。ただ現地の人たちの生活はやはり日本より少し遅れているようだ。 ホテルの周りが現地の人たちのアパートなのでふだんの生活を垣間見ることができた。 市場には肉や衣料品がぶる下げてあり、東南アジアの典型的な町並みが見渡せた。 日本人からすると、少しにおいがきつく、その市場を歩くのに少し抵抗があるかもしれない。

 日本では香港の現地の人たちと同じような生活をおくっている人はもう今ではないだろう。 香港は進んでいる経済都市といっても一歩生活に踏み込めば、まだまだ貧しい生活を している人が多いとつくづく感じた。

 中国は、社会主義国家であまり情報が入ってこないので、実際はどうなっているのであろうと 思っていたけれど、自分で考えていた以上に都市などは近代化している様に思えた。 これは、われわれが行った深センなどの、ほんの一部にすぎないのだろうけれど。 町並みを見る限りでは、自由主義社会と何らかわりの無い様に思えた。 しかし、テクノセンターの石井氏の話によると、ある日本企業でストライキを起こした 主犯格の人は、銃殺されたということを聞き、社会主義国家の怖さを感じた。 表には出てこないのだろうけれど、裏ではこのようなことが平気で起きているのではないかと 想像できる。

 中国内陸部から出稼ぎに来ている女性たちを見て、日本と比べると、 本当に質素な生活をしているのだけれど、生き生きとしているように感じた。 内陸部では一年かかって稼げる金を経済都市にくれば、たった1・2ヶ月で稼げてしまうのだから 必死に働いているのだろう。

 今回の視察に行くまでは、日本人の勤労意欲は高く、よく働くと思っていたのだけれど、 深センの若い労働者を見てくると、それが必ずしも正しいとはかぎらないと思った。 彼女たちはとてもよく働き、休みが増えたり残業がなかったりすると文句が出るといった 様に、稼いで生きていくことに真剣だなと感じた。日本人は裕福になりすぎて、 働く意欲が低下してきている様に思える。

 今回いくつかの日本企業を訪問してみたのだけれど、それぞれ、その会社によって 事情が違い、成功した企業、今でも苦しく生きていくのが必死の企業など、いろいろな 問題を抱えており、一つの企業を守っていくには、 とても容易ではないとつくづく感じた。

 最後に食事について、毎日毎日中華料理でさすがに飽きてしまった。 しかし、こんな油っこい物を5日間も食べ続けても体調をこわすでもなく、 何の問題も無く過ごせたのは中華料理の良さではないかと思った。 フランス料理を5日間続けて食べろと言われてもそれは無理な話である。

 また、夜の町は、日本人のいる所全て日本価格である。 日本で飲んでも香港あるいは中国で飲んでも、かかる費用は同じである。 物価が安いからと言って安く飲めるかと思えば、そうでもなさそうだ。

 今回の研修旅行はいろいろな面でとてもためになり有意義に過ごせたと思う。